タイトルは、児童向け小説のタイトル風で。

 
Hは、俺の尊敬する同輩の一人である。
俺は、そんなに簡単に友人を尊敬しないので、彼は相当デキた人間であると考えて欲しい。

顔はそんなに良くないが、性格は一級品の男である。
そして、好きな女に2年も片思いする、大学生には珍しい純情な男だ。
彼に女ができないのは、彼が自分の素晴らしさを、ちっとも理解していないせいだと思う。

必要以上に長く語ってしまったが、今日はHと一緒に、夜中に市内小学校を訪ねていく話である。

 
俺達は、ある用事で、Hと小学校を訪ねるコトになった。
(用事の内容は、説明しない)

俺「おまえ、一人でもできるよな、この仕事ってさ」
H「いや、ついてこいや」
俺「別にいいけどさ、車もってるのもオマエだし、立場上、学校に挨拶するのもオマエだからな。俺、必要無いじゃん。路上駐車するなら、車で待ってようか?」
H「いや、政二も、つれてくよ?」
俺「はいはい……。あ〜、ダルイ!」
 

そして、二人で夜の小学校へ……
小学校の玄関の前には、ボールを持った少年の像があった。
一瞬、暗がりで、人が立ってるのかと思った。

俺「なんで、こうテーマ性のない、ボール抱えてるだけの普通の少年なんだろうな?」
H「昔、この学校で、死んだ子だったりして……」

 
人が来たら、強い明かりが付く仕組みの玄関。

俺「セコムの罠だ!」
H「び、びびった〜」
 

中に入ると、「明治時代の近代風」校舎。
目指すは、二階の奥にある、教務室。

俺「趣ある、廊下だなぁ…薄暗い…カッコイイ…」
H「小学校って感じがしない、廊下だよなぁ?」

 
薄暗い階段。 やがて、小学校独特のトイレの匂い。
教務室に行って、無事仕事も終わった。
引き返す道、トイレのあたりまで来ると、後ろから音がする。

ポロン…… ピアノの音だ。 下手な練習曲。

俺「おい、こんな時間に練習してる、ガキがいるのか?」
H「……死んでも、まだ、練習したい……ってか?」
俺「そんなことは言ってないが……。オマエもしかして怖いのか?」

H 無言……
 

もしかして、俺、図星ついちゃった?

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