死体を見た。と日記に書いたら、勇がそのことについて書けと言う。
別にグロイ話は出てこないですよ。

緩和ケアって知っていますか?
ホスピスでお馴染み、終末医療のことです。
その現場に訳あってお邪魔したら、偶然その日亡くなった人がいたわけです。

緩和ケアの病棟は、とても明るく綺麗でした。
生活の場として機能しており、そりゃ死にそうな人もいるんですが、それでも笑いがどこかにある、不思議な空間でした。
「あるがまま」恐怖も、鬱も、家族愛も、あるがまま生きる最期の場所として……機能しようとしているように見えました。

亡くなった人の周りには、泣いている人が沢山いました。
優しい看護婦にご機嫌で抱かれた新生児が、涙をこらえた肉親に抱かれたとたん、泣きだしました。
悲しみが伝染したみたいでした。

泣いている理由は、人それぞれでした。
今まで一緒に元気に生きていた歴史はもちろん、長かった終末ケアの看病の歴史、たった1分遅れたばかりに死に目に会えなかった家族、もっといい看護が…死が…あったかもしれないと感じる看護婦。

あるがままであるしかなくて、あるがままは辛いことでもある。
あるがままは仏みたいな心ではなくて、人それぞれのとても個人的でエゴイスティックなものかもしれない。
それでも人は最後に、あるがままに死んでいく……のだろうか?
と、そのときはまだ言葉にならないまま思っていました。

頭の片隅に死が渦巻いた日。
好き勝手に生きさせてもらっているけど、親しい人の死に目にあえなかったら、悲しいような気がしました。
死んだら最後じゃなくて、死んでも残ってしまうんだよ。
どうしても、エゴイスティックな俺の心には、死んでも皆残ってしまう。

仕方ないじゃないか。

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